薬剤師の令和から始める健康ブログ

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落としてダメにしたら大惨事!? 1回3000万円を超える薬剤が発売になる件

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今回は時事ネタになります。
つい先日、スイスに本社を置く、ノバルティスファーマ社より、一部の白血病などの血液がんを治療する「キムリア」という遺伝子治療薬が発売になりました。
この薬剤は、他の抗がん剤が効かなかった25歳以下の患者さんを対象とする薬剤で、患者さんの免疫細胞を取り出して、がん細胞に対する攻撃力を高めるために特殊な遺伝子を導入した後、細胞を増やして患者の体に移植するという製品になります。
臨床試験では、1回の投与で通常の治療では治らなかった難治性の白血病やリンパ腫などの血液がんに対して高い有効性が確認されています。しかし、一定の割合で効かない患者がいるほか、非常に重篤な副作用が生じる場合があることが分かっています。

今まで悩んでいた患者さんからすれば朗報で、治らなかった病気が治るかもしれないという明るい話題のはずが、値段がなんと「1回 3349万3407円」という薬価(薬剤の値段)がついてしまったことで物議を醸しています。

何でそんなに高額なの?

日本での薬剤の値段は、厚生労働省が中央社会保険医療協議会という会議を開催し、有識者たちによって決められます。
その際に、原価計算方式(薬剤を作るうえでのコスト、販売費及び一般管理費、営業利益、流通経費並びに消費税を加味して値段を調整する方式のこと)という方式で薬価が決められましたが、既にアメリカでは約5000万円、イギリスでも4000万円を超える薬価がついており、日本でもどうなるのか注目を集めていました。

他の国より安いなら良いのでは?

他の諸外国に比べて安い値段がついたので、諸外国に比べるとこの薬剤を使いやすいと考えられる方もいるかも知れませんし、日本は患者さんに優しい良い国だ!と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、ここで注意しなければいけないのが、諸外国と日本とでは保険制度が異なるという点です。
日本の健康保険制度には高額療養費制度というものが存在しますので、世帯ごとにひと月の自己負担の上限額は所得に応じて一定の金額内に抑えられますので、患者さんがこの薬剤での治療にかかる数千万円という負担をするわけではありません。
しかし、効果が出なかった場合、治らなかった人まで費用を負担すべきかという問題や、米国と同様に成功報酬した際にのみ支払いを検討すべきではないかといった点もいまだ争点となっている等、様々な切り口からいまだ議論が続いているようです。

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まとめ

結論として、私個人としては日本でも保険診療の中で、より高度な治療を受けられるようになった点について良かったのではないかと思う一方、日本の医療を受けるために海外から日本に来る外国人が急増しているという実態もあります。一見すると別に良いのでは…?と思われるかもしれませんが、ビザの種類や滞在の理由、公的保険に加入していたりすると、日本人同様に高額療養費制度が適応されるので、不当に保健医療が使われないように現在対策が進められてきます。このまま放置すると日本の保健医療が破綻してしまいますので心配です。
医療費については、多くが税金でまかなわれているともあり、常に色々な議論が絶えません。この薬剤に限らず高額な薬剤は多く存在するので、本当に必要な人の下に届けば良いなと思いました。
最後に余談ですが、もしこの薬剤の用意をしている最中に何かの理由(地震などの災害、突然人がぶつかってきた等)で落とすなどして、ダメにしたら相当怒られるんだろうな…とか思ったり、輸送の最中や病院などに配送する人も凄く神経を使うだろうな…なんて思いました。
今回、話題にした「キムリア」は5月22日から保険適用され、施設基準を満たした医療機関において治療が受けられるようになります。
この情報が、皆様のお役に立てますと幸いでございます。
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